古代ペルシャを起源とする世界最古の一神教と言われるゾロアスター教は(名前がとにかくカッコいい。)、鳥に遺体を食いつくさせる「鳥葬」という珍しい葬儀を行なっていました。
そのゾロアスター教の墓場であったのが「沈黙の塔」。
その一つがイランのヤズドに存在し、イランでは「ダフメ」と呼ばれています。
今では鳥葬は行われていないものの、一部のゾロアスター教信者が今でもヤズドに住んでいるそうです。
ゾロアスター教の守護霊は「プラヴァシ」。
世界を「善なるもの」と「悪なるもの」に二極化する考えを持つのがこのゾロアスター教の特徴で、「プラヴァシ」は善の象徴であり、助けを求める人を救います。
沈黙の塔への入場料は一人200,000リアルIRRです。
入ってすぐ水飲み場があったので手を清めて、ペットボトルに水を汲みました。
沈黙の塔は1999年にイランの国家遺産に登録されています。
向かって右が女性用、左が男性用、見た目よりも登るのは大変ではありません。
左の大きい方は15分、右の小さい方は10分程度で頂上まで登れました。
沈黙の塔は、人が人生の終わりを迎え裁判を受ける神の法廷でもあります。
沈黙の塔の周辺にはいくつか廃墟が残っています。
ナササラーズと呼ばれる葬儀人がこの建物内に住んでいました。
ナササラーズは遺体と直接接触していたため、感染症を広げる恐れがあるとして村に入ることは許されていませんでした。
ナササラーズは遺体を沈黙の塔の上に並べ、ハゲタカに食べられるようにします。
ナササラーズ以外の誰も中に入ることを許されていなかったため、内部で何が起きているのか、ハゲタカによって遺体が食べられる様子などは見ることはできません。
高い壁や、階段のない高い入り口、金属製の扉などがナササラーズ以外の人や他の動物の侵入を防いでいました。
ゾロアスター教では「水」「空気」「土」「火」の4つの環境要素を守ることが非常に重要であると考えられているため、火葬や土葬を行いませんでした。
ナササラーズはハゲタカに食べられた後の骨を中央の穴へ入れ、それを分解させるために石炭と硫黄を注ぎます。
最後に故人を祝福する言葉を唱え、敬意を評します。
ゾロアスター教では死が人生の終わりではなく、継続的な幸福の始まりだと信じられています。
今もこの地で先祖たちが平和に休んでいるのです。
最初は「鳥葬」と聞くと怖そうな宗教だなと思ったものの、冷静に考えると超自然的な葬儀方法な気がしました。
噛み砕いた簡単な紹介になりましたが、現在の宗教観とも結びついており、深く知るともっと面白いと思います。

コメント